その日は、いつもと変わらぬ日常のはずだった。
覆面男1「よし、手を地面に付けておとなしくしろ。」
そう、朝にはいつも通り探偵事務所へ出所し、仕事を始めたことは間違いない。
覆面男2「へっ、兄貴には逆らわないほうがいいぜ。」
確か、浮気調査のため、クライアントの婦人を尾行したのだ。
覆面男1「よし、そこの女。この袋に金を詰めろ。」
そういえば、なぜか景子君も一緒について来ていたな。
覆面男2「ほら、早くしろ!全部詰めるんだぞ。」
2人で婦人の後をつけ、銀行に入ったところまでは覚えている。
覆面男1「おい、そこのお前!」
別段そこまで、いつもの日常とは変わりなかったはずだ。
覆面男2「てめぇだよ!」
しかし、今の現状は非常に説明が難しいものだと言えよう。
覆面男1「いいかんげんにしやがれ!」
ただ、一言で言うとしたら・・・
銀行強盗に出くわしたというこだ。
Written by glock22
EPISODE 1
二階堂「で、君たちは何者なのかな?」
覆面男1「いや、お前この状況でそういうことを聞くか?」
どうも、冗談が通じない男らしい。
ちなみに、覆面男は2人。
片方は大柄で身長190cmはあるかという男で、もう片方は小柄だった。
便宜上大柄な方を『覆面男1』、小柄な方を『覆面男2』と呼ぶようにしよう。
二階堂「では改めて聞くが覆面男1、なぜ君たちは銀行強盗などをしようとしたんだ?」
覆面男1「誰が覆面男1だ!誰が!」
僕は勤めて紳士的に聞いたつもりだった。
周りには、銀行強盗におびえている女性が座っている。
こういう時に何とかしなくて、何が探偵か。
あー、男に関しては自分で何とかしてもらうとしよう。
しかし、どうもこの覆面男たちには紳士的に取られなかったようだ。
覆面男1「もうそんなことはどうでもいい!あんまりうるさいとこいつの餌食にするぞ!」
覆面男1はそう言いながら、懐から拳銃を取り出して僕の方に向けた。
あまり拳銃には詳しくないのだが、黒光りするソレは玩具のようには見えなかった。
僕は、隣に座っている景子君に小声で話し掛けた。
二階堂「なあ、景子君。あの拳銃どう思う?」
景子「そんなことはどうでも言いからあまり刺激しないで下さい。」
冷たく言い放たれた。
うぉ、何とかしようとしているのに、その冷たい視線はなんだ!?
覆面男2「へへへ、兄貴を怒らせない方が身のためだぜ。」
覆面男2は薄気味悪く笑うと、手に持ったナイフの柄から先までを舌で舐めた。
覆面男2「いてぇ!」
あ、舌を切ったようだ。
やーい、阿呆が。
覆面男1「とにかく、おとなしくこいつに金を詰めればいいんだよ。」
そう言いながら覆面男1は手にもっていた大きな麻袋を銀行員に投げつけた。
銀行員は、震える手でそれを受け取ると、金庫の方へと歩いていった。
さて、これから僕がやるべきことは・・・
二階堂「景子君、頼みがある。僕がこれからあの男たちの気を逸らすから、その間にそこのカウンターにいる銀行員に警報スイッチを押すように指示してくれないか?」
僕は小声で言った。
こういう銀行には必ず警報スイッチがあると決まっている。
それを押せば、いずれは警察がやってきてやつらを捕まえてくれるだろう。
つまり、僕はそれまでの時間稼ぎをしつつ、ここにいる人たちを守ればいい。
そうしたら、明日の新聞には僕の活躍が一面で載ることだろう。
『天才ID探偵・二階堂進氏、見事銀行強盗を捕まえる』
イイ。
かなりイイ。
そんな新聞が出た日には、僕は出歩くたびに女性から声を掛けられて困ったことになるかもしれないな。
景子「・・・・・・さん」
全く、僕には弥生さんという心に決めた人がいるから君たちの愛は受け止められないのだが。
景子「・・・・堂さん」
ああ、僕はなんて罪深い男なんだ。
景子「二階堂さん!」
ガスッ!
殴られた。
頭から星が出てくるかと思えるほど痛かった。
隣を見ると、あくまでも無表情な景子君が僕を見ていた。
どうやら、グーで殴られたらしい。
しかし、なぜ殴られただけで頭から血が流れているのだろう?
・・・・・・
・・・・・・・・・
ああ、そうか。
グーじゃなくて灰皿で殴られたのか。
はっはっはっ、道理で衝撃が凄かったと思った。
・・・・・・
・・・・・・・・・
二階堂「景子君、僕じゃなかったら死んでるかもしれないぞ?」
景子「大丈夫です、二階堂さんだからやったんです。」
二階堂「なるほど。」
って、納得してどうする僕!
しかし、反論は許さないというような瞳でこちらを見つめる景子君に、僕は何も言い返せなかった。
かすかに頬を伝う涙は仕方が無いよな?
景子「とにかく、もう警報スイッチは押したそうです。」
二階堂「ほぉ、いつの間に?」
景子「二階堂さんが犯人たちと馬鹿やってた時だそうです。」
馬鹿って・・・・・・
ま、まあそれは一応僕が気を逸らさせたということで間違いない・・・・・・よな?
・・・・・・よし、そう考えることにしよう。
二階堂「それじゃあ、警察が来るまで店内にいる人たちの安全を確保すればいいということだな。」
景子「そうですね。」
・・・・・・そうあっさりと同意されると逆に気味が悪いというか何と言うか。
しかしそれは口にせず、僕はあたりを見回した。
店内はそれほど客は入っておらず、僕たちを含めても5人だった。
それに銀行員が7人の、計12人か。
ちなみに、女性9人男性3人の割合だ。
なぜそんなことを言うのかって?
重要な事じゃないか。
そして覆面男達は、銀行員が金を麻袋に詰めているのを見ながら、銃口は近くにいる女性に向けていた。
その女性は恐怖に震えていた。
あいつら・・・・・・女性を怖がらせるとは、男として最低だな。
男とは何時如何なる時でも女性には優しく接しなければならない。
それが男の美学。
ふふん、僕に言わせればあいつらは男じゃないな。
などと考えていると、金を詰めていた銀行員が戻ってきた。
やっと詰め終わったらしい。
銀行員「こ、これ・・・・・・」
銀行員は震える手と声で、大きく膨らんだ麻袋を覆面男1に渡した。
覆面男1は拳銃を持っている反対の手で受け取ると、その重さに倒れそうになった。
覆面男1「お、重いな。」
覆面男2「へへ、それだけ金が詰まってるって事さ、兄貴。」
覆面男2は切った舌を少し出しながらそう言って笑った。
ふっ、頭の悪そうな笑い方だ。
覆面男1は、麻袋の口を緩めると、その中身を確認しはじめた。
ジャラジャラ
覆面男1の顔色が険しくなってくる。
それもそのはず、麻袋の中には1円玉・5円玉・10円玉しか入っていなかったからだ。
あの銀行員、侮れんな。
覆面男1「これは、何だ?」
覆面男1は銀行員に尋ねた。
口調は笑っているのだが、目が笑っていない。
銀行員「い、いや・・・・・・ちょっとしたジョーク?」
銀行員はひとすじの汗を流し、笑いながらそういった。
銀行員よ、頼むから犯人を刺激しないでくれ・・・・・・
覆面男2「兄貴、これだけあればどれくらいの『うまい棒』が買えるかな?」
覆面男2は真剣そのものの顔でそう聞いていた。
ぼこっ
あ、殴られた。
覆面男1は、殴った手でもう一度麻袋を掴むと、重そうに持ち上げてそれを投げつけた。
ちなみに、その時しっかりと袋の口は締めてあったので、中身が散乱することは無かった。
こいつ、何気に気が利くやつだな。
覆面男1「もう一度だけ言う、この中に札束を詰めて来い。」
覆面男1は、札束の部分を強調して言った。
それを聞いた銀行員は、少し緊張しながら麻袋を持った。
こいつ、本当に緊張しているのか?
いや、それ以前に何でこの女性は重そうな麻袋を軽々と持っているんだ?
僕が色々と考えていると、覆面男1は僕の方を向いた。
何だ?
覆面男1「おい、お前。」
二階堂「僕のことか?」
覆面男1「ああ、お前のことだよ。」
何なのだろう、この態度。
僕が誰だか知らないのか?
天才ID探偵二階堂進だぞ?
覆面男1「腹が減ったから出前を頼め。」
二階堂「まじかい!」
僕は思わず叫んでいた。
いまだかつて銀行強盗に入って、その場で出前を頼もうとした奴はいるのだろうか?
それを聞いた覆面男2は、さすがに心配そうにして言った。
覆面男2「な、なあ兄貴。さすがにそんな事をしてたらポリスが来ちまうんじゃないか?」
覆面男1「なーに、今まで俺がこいつらを完全に見張っていて、警報スイッチを押していないことは分かってるんだ。だったら当分サツも来ないさ。」
覆面男2「さすが兄貴、抜け目無いな!」
・・・・・・
・・・・・・・・・
阿呆が2人だった。
思いっきり通報されているのが分かっていないようだ。
まあ、こちらとしては好都合なのだが。
二階堂「どこに出前を頼めばいいんだ?」
覆面男1「そうだな・・・・・・やっぱりオーソドックスにラーメンだろうな。」
いや、既に銀行強盗中に出前を頼むという時点でオーソドックスでも何でもないような気がするのだが。
というか、覆面でラーメンを食べようとするな、おい。
覆面男2「なら、俺はチャーハン大盛とチャーシューメン大盛がいいな。」
随分と食べるな。
覆面男1「食え、好きなだけ食え。俺は味噌ラーメン特盛に餃子にするか。」
こいつらに緊張感というものは無いのだろうか。
覆面男1「ということで、お前電話かけろ。」
二階堂「くっ・・・・・・」
これは屈辱だ。
僕のような天才がこんな低脳な犯罪者に、いいようにこき使われるなんて。
しかし、ここで事を荒げてしまうと周りの人の安全が保証できない。
僕は渋々電話をかけ始めた。
ピッピッピッピッピッ
トゥルルルル
トゥルルルル
覆面男1「ああ、言い忘れていたが変なことは考えるなよ。」
くっ、阿呆の癖に妙なところで気が回る奴だな。
トゥルルルル
トゥルルルル
ガチャ
男『はーい、こちら来々軒。』
二階堂「すいません、出前をお願いしたいのですが。」
男『はいよ、注文をどうぞ。』
僕は覆面男たちが言っていたものを頼む。
電話の男は、至って普通に注文を取っていった。
相手には今のこの状況を想像もできないだろう。
男『はい、それじゃ以上でよろしいですか?』
僕がうなずこうとすると、後ろから覆面男1が声をかけてきた。
覆面男1「ああ、あともう一つ。ラーメンも頼んでおけ。」
こいつら、あれだけ頼んでもまだ足りないのだろうか。
どんな胃袋をしているのか見てみたいものだ。
僕は半ばあきれ果てた声で頷いて注文した。
二階堂「ああ、すいません。あとそれにラーメンもお願いします。」
男『はいはいっと。注文は以上でよろしいですか?』
二階堂「はい、それでお願いします。」
男『それで、どこにお届けしたら良いんでしょう?』
言葉に詰まった。
『セントラル銀行にお願いします』
これでは普通に銀行員が頼んだと思われるだろう。
それでは駄目だ。
もし万が一、先ほどの警報スイッチが故障でもしていて通報されていなかった時のことを考え、ここでラーメン屋の男におかしいなと感じさせるような言い方じゃないと駄目だ。
しかし、覆面男たちには不自然に感じさせてはいけない。
・・・・・・
・・・・・・・・・
できるわけないだろ、そんなこと。
落ち着け・・・・・・落ち着け僕。
・・・・・・
・・・・・・・・・
よし、落ち着いた。
銀行に届けさせるように、相手には不自然に、こちらには自然に聞こえる言い方。
・・・・・・
・・・・・・・・・
二階堂「銀行強盗にお願いします。」
男『はい!?』
って、何をやっているんだ僕!
不自然にも程があるだろ!!
これでは覆面男たちが逆上してしまう・・・・・・二階堂進、一生の不覚!
なんか背中に銀行員や客たちの痛い視線も感じるし。
ただ、間違えただけだろう!?
覆面男2「あ、兄貴・・・・・・こいつ・・・・・・」
や、やばいかな?
覆面男1「ああ、こいつに電話を任せたのは間違いだったかもしれないな・・・・・・」
ああ、銃口がこっちを向いているのは気のせいってことにしてくれ。
そして、覆面男1が諦めたような、寂しげな目でこちらを見て言った。
覆面男1「まさか、こんなにおっちょこちょいな奴だったなんて・・・・・・」
二階堂「おっちょこちょい!?」
それで済む問題だったのか!?
こいつら、本物を越えてるんじゃないのか・・・?
僕の思考を超えてる存在に、訳が分からなくなってきた。
男『もしもーし、もう一度言ってくれませんか?』
電話の声で思考を元に戻される。
とにかく、覆面男たちに変だと思われなかっただけ良かったと思うことにしよう。
いや、変だとは思われたんだが・・・・・・
まあ、この際細かいことを考えている場合ではない。
恐らく、このラーメン屋は何かがおかしいと思ってくれることだろう。
そう願いながら、僕はしゃべり始めた。
二階堂「えっと、セントラル銀行にお願いします。」
男『ああ、セントラル銀行ですね。分かりました、5分後にお届けします。』
二階堂「5分後!?」
男『うちの店は、早い・安い・まずいがモットーですから。』
二階堂「いや、まずいのは駄目だろ・・・・・・」
男『では!』
ガチャン
電話は一方的に切られた。
というか、あれで客商売が成り立つのかが疑問だ。
覆面男1「よし、これで腹ごしらえをしたら海外に高飛びするぞ。」
覆面男2「兄貴、最高だな。」
覆面男たちはどこまでも幸せな頭の持ち主のようだった。
注文と金を楽しみに待っている様子の覆面男たちを尻目に、僕の頭脳はフル回転をしていた。
もし警察が注文よりも先についた場合。
これは簡単だ。
隙を見て警察が突入してくればそれで事は済む。
もしラーメン屋が先についた場合。
この場合は男が中に入ってきた時と、覆面男たちがラーメンを食べている時がチャンスになるだろう。
その際、警察を待つかどうかの判断が難しくなってくる。
もちろん、僕一人なら逃げ出す自身はある。
・・・・・・
・・・・・・・・・
おい、そこで疑いの眼差しを向けている奴。
後で覚えておけよ。
とにかく、他にも人質がいる今はそうそう無茶な事はできないだろう。
その場合、臨機応変に行くしかないな。
そして、もし仮にどちらも来なかった場合。
・・・・・・
・・・・・・・・・
怒るぞこら。
いや、本当に。
と、思考を巡らせていた時。
再び麻袋に金を詰めた銀行員が戻ってきた。
今度はそれほど重くはなさそうで、中身はおそらく札束なのだろう。
銀行員「は、はい・・・・・・」
銀行員は、恐る恐るといった表情で麻袋を手渡した。
今度同じようなことをしたら、撃たれると感じたのだろう。
先ほどと比べても恐怖の度合いは高まっているようだった。
覆面男1は、無言でその麻袋を受け取ると、静かに口を開けた。
中は、今度こそ本当に一万円札の束で埋め尽くされていた。
覆面男2「ヒュ〜」
覆面男2は、目の色を輝かせながら下手な口笛を吹いた。
恐らく、これ程の札束を見るのは初めてだったのだろう。
少し手が震えているのを僕は見逃さなかった。
そして、覆面男1はその札束を一目すると、手に取ることもせずに拝みだし始めた。
覆面男1「ありがたや、ありがたや」
やっぱり阿呆だったな。
と、その時覆面男2が札束を手に取ろうとしてこけた。
ドサッ
覆面男2「いってぇ」
どうして何も無いところで転ぶことができるのだろう?
不思議に思って覆面男2を見て、その答えが分かった。
ひざが小刻みに震えていたからだ。
こいつ、小心者だな・・・・・・
これくらいの金を目にしただけでこんなになるとは、まだまだだな。
そして、起き上がろうとして麻袋を触った時、札束を少しこぼした。
ドサドサッ
その時、隣で座っている景子君が少し緊張したように見えたのは気のせいだろうか。
・・・・・・いや、気のせいだな。
あの景子君が怖がるわけもあるまい。
と、そこで景子君と目が合った。
『アトデキオクヲケス』
・・・・・・・・・!?
なんだ、この意識は!?
景子君と目が合った瞬間、なぜかそういう思考が浮かび上がってきた。
・・・・・・
・・・・・・・・・
疲れてるんだろうか?
覆面男1「おい、お前。」
二階堂「また僕か?」
覆面男1「そうだ、拾ってくれ。」
二階堂「ぐっ・・・・・・」
ま、また僕をこき使おうとしているのか・・・・・・?
こいつ・・・・・・
僕は、反論したくなったのを抑え、渋々従うことにした。
いいか、あくまでもこれは他の女性たちの事を考えてのことだぞ?
そう心の中で呟くと、落ちた札束を拾い集めた。
そして、気が付いた。
札束は、外側だけが一万円札で、中身は全部千円札だということを。
またやったのか、あの銀行員・・・・・・
大胆かつ不敵な行動力だな、おい・・・・・・
どうやら覆面男たちは気が付いていないようだったので、分からないようにそっとしまった。
うまく気が付かれないようにしまうことができたようで、覆面男たちは何も言わなかった。
覆面男2「悪かったな、兄貴。」
覆面男2は、切れた舌をぺろっとだし、頭をかきながらそう言った。
覆面の上からだったが。
覆面男1「まあ、いいさ。これからは気をつけろよ。」
これからとは何時のことなのだろうか。
全く、この2人の覆面男は未だに掴めない。
大体、銀行強盗をするということは、それなりの理由があるのだろう。
僕は今までの経験上、色々な犯罪者を見てきた。
まあ、天才探偵であるが故のことだな。
そして、犯罪者たちは何らかの意志に基づいて行動をしていた。
それが怨念であったりしたときもある。
今回のように金であった時もある。
しかし、どうもこの2人にはそれとは違う何かを感じるのだが・・・
覆面男1「しかし、腹減ったな。」
覆面男2「本当に・・・・・・」
・・・・・・
・・・・・・・・・
何も考えていないだけなのかもしれない・・・・・・
と、その時だった。
ファンファンファンファン
外から、何台ものパトカーのサイレンが聞こえてきた。
どうやら、やっと到着したらしいな。
そして、その音を聞いた覆面男たちは静かにこちらを向いたのだった。
覆面男1「やってくれたな・・・・・・」
覆面男1が、怒りに燃えた目でこちらを睨んでいた。
いや、今回の場合はこうなるのが当たり前だと思うのだが・・・・・・そんな理屈が通じるような相手ではなさそうなので、言うのをやめておいた。
覆面男2「ハラヘッタ・・・・・・」
こっちはこっちでどんな理屈も通じ無そうな相手だし。
覆面男1「仕方が無い、貴様を見せしめにするしかなさそうだな。」
そう言いながら、なぜか僕のほうを見る覆面男1。
おい、ちょっとまて。
なぜ僕が!?
大体、警察が来たくらいで見せしめとか言うんだったら、人質が生きて帰ってこれることが無くなるだろう。
しかし、そんなことを考えている間に、既に覆面男1の手にある拳銃は僕に狙いを定めていた。
二階堂「おい!絶望的になるの早すぎるぞ!もっと根性見せたらどうなんだ!?これだけの人質だぞ、警察が来たくらいでお前たちの優位性はそう変わらないだろうが!」
ふっ、我ながら最高の説得だ。
後ろから殺意にも似たような景子君の視線を感じるが、今のところは無視をしておこう。
覆面男1「ふむ、確かにこれだけの人質がいれば、警察といえどもおいそれと突入はできないか・・・・・・」
よし、納得した!
僕は、心の中で小さなガッツポーズを作った。
いや、決して自分の身かわいさで言ったのではなく、覆面男1にこれ以上犯罪を犯してほしくないという優しさだからな。
そんな、自分の心に対して弁解をしているときだった。
ガラガラ
静寂を破り、銀行の扉が大きな音を立てて開いたのだった。
覆面男1は、驚いた目でその扉に銃口を向けて見た。
男「ちわ〜、ラーメンお届けにあがりましたぁ。」
そこにいたのは、おかもちを持ったラーメン屋の男だった。